嘘つきな君
突然の事で、頭が混乱する。
周りから注がれる視線から逃げ出したくなる。
それでも、彼は私の手を握って離してくれない。
どうしようかとパニックになる中、突然彼は優雅に腰を折った。
そして。
「一緒に、踊って頂けますか?」
どこか、おどけた様子でそう言った。
その姿を見て、思わず目を見開く。
それでも、徐々に持ち上がる頬。
まるで映画のワンシーンみたいだと思って、笑った。
「喜んで」
ダンスなんて踊った事なかったけど、不思議と不安じゃなかった。
きっと彼なら、うまくエスコートしてくれると思ったから。
踊れない、って言っても、俺を誰だと思ってる。とか言うと思ったから。
彼に任せておけば、大丈夫。
きっと、私に上手く魔法をかけてくれる。
ニッコリ笑って頷いた私を見て、彼は優しく私の腰に手を回した。
そんな私達を囲む様に、人垣ができ始める。
音楽が流れ始める。