嘘つきな君

どこまでも響き渡る音楽に合わせて、ゆっくりと踊りだした彼。

優しく私を引き寄せて、ステップを踏む。

優しく持ち上げられて、ドレスが宙に舞う。

クルクルと円を描く度に、彼が楽しそうに笑う。


ふと視線を回りに向ければ、沢山の人達が私達と同じように踊っていた。

まるで舞踏会みたいだと思って、信じられない気持ちで辺りを見渡す。


幼い頃に見た、映画の中のワンシーン。

お城の中で、眩しいシャンデリアの下で、王子様とダンスを踊る。

夢のようなそのシーンの中に、今私はいる。

楽しくて、幸せで、嬉しくて、仕方なかった。


世界はこんなにも輝いている。

こんなにも、幸せに満ちている。


「うまいじゃないか」

「私を誰だと思ってるんです?」

「言うようになったな」

「誰に似たんですかね」

「俺かよ」


クスクスと笑いながら、ステップを踏む。

引き寄せられて、そのまま彼の胸に頬をつける。


幸せだ。

幸せで、幸せで。

幸せすぎて、泣きそうだ。


「ずっと一緒にいるから、似ちゃったんですよ」


ねぇ。

私、あなたに出会えてとっても幸せ。


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