嘘つきな君
◇
「きれーいっ!!」
空に向かって吹き上がる大きな噴水を見上げて、声を落とす。
その周りには色とりどりの花々が植えられていて、幻想的にライトアップされている。
あまりにも綺麗で、まるで絵本の中に飛び込んだみたいだった。
「ラスベガスの噴水とまでとはいかないけどな」
「ふふっ。私はこっちの方が好きです」
ホテル自慢のガーデンを見渡して、歓喜の声を上げる。
綺麗に剪定された庭は、どこを見ても絵になる。
「明日、明るい時にもう一回来たいです!」
近くにあったソファーに腰かけた常務が、私の言葉を聞いて瞳を細めて笑う。
その笑みに微笑み返すと、すっと彼は片手を私に伸ばした。
「来い」
頷いて足を前に出して、その手を取る。
そして、促されるまま隣に腰を下ろした。
「疲れたか?」
「ちっとも。楽しくて時間が過ぎるのが、あっという間でした」
「そうか」
言葉と一緒に、彼が私を抱き寄せる。
その力に抗う事なく、彼の肩に頭を乗せた。
それと同時に、頭に触れるだけのキスが落ちてきた。
その瞬間、幸せで頬が緩む。