嘘つきな君






「きれーいっ!!」


空に向かって吹き上がる大きな噴水を見上げて、声を落とす。

その周りには色とりどりの花々が植えられていて、幻想的にライトアップされている。

あまりにも綺麗で、まるで絵本の中に飛び込んだみたいだった。


「ラスベガスの噴水とまでとはいかないけどな」

「ふふっ。私はこっちの方が好きです」


ホテル自慢のガーデンを見渡して、歓喜の声を上げる。

綺麗に剪定された庭は、どこを見ても絵になる。


「明日、明るい時にもう一回来たいです!」


近くにあったソファーに腰かけた常務が、私の言葉を聞いて瞳を細めて笑う。

その笑みに微笑み返すと、すっと彼は片手を私に伸ばした。


「来い」


頷いて足を前に出して、その手を取る。

そして、促されるまま隣に腰を下ろした。


「疲れたか?」

「ちっとも。楽しくて時間が過ぎるのが、あっという間でした」

「そうか」


言葉と一緒に、彼が私を抱き寄せる。

その力に抗う事なく、彼の肩に頭を乗せた。

それと同時に、頭に触れるだけのキスが落ちてきた。

その瞬間、幸せで頬が緩む。
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