嘘つきな君
それに、さっき見た彼女の姿が脳裏に焼き付いて離れない。
栗色の綺麗な巻き毛の長い髪。
陶器の様にキメ細かい、真っ白な肌。
大きな瞳と、ビッシリと並んだ長い睫毛。
どこか不思議なオーラを纏う、まるでビスクドールの様に美しい女性。
ニッコリと親しみを込めて微笑んだ笑顔。
そして、『大輔さん』と呼んだ、あの声。
それらが全て、胸に引っかかる。
私の質問を皮切りに、微かな沈黙が流れる。
視線を泳がせる私とは正反対に、柳瀬さんは一度も私から視線を逸らさずに、じっと私を見つめた。
そして。
「あなたは正直な人だ」
「え?」
「嘘をつけない人でしょう?」
息の下で笑いながら、そう言った柳瀬さん。
長い指をお腹の上で絡ませて、俯いていた私を見てニヤリと笑った。
「芹沢さんは、秘書になって何年です?」
「何年だなんて……つい最近なったばかりです」
答えが返ってくると思ったのに、逆に質問された。
訝し気に思っていると、柳瀬さんは納得した様に小さく頷いた。
「なるほど。だからですね」
「はい?」
「その質問をされたのは、初めてだ」
「え?」
「この世界で、彼女は有名だから」
「……有名?」
「その名の通り、知らない人はいないくらいにね」
あぁ。
だから秘書になって何年だなんて聞いたのか。
普通だったら、みんな知っているのが当然だから。
だとしたら、そんなに有名な人なんだ、あの女性は。
見た感じ相当なご令嬢に見えたから、どこかの良家のお嬢様なのかな。
栗色の綺麗な巻き毛の長い髪。
陶器の様にキメ細かい、真っ白な肌。
大きな瞳と、ビッシリと並んだ長い睫毛。
どこか不思議なオーラを纏う、まるでビスクドールの様に美しい女性。
ニッコリと親しみを込めて微笑んだ笑顔。
そして、『大輔さん』と呼んだ、あの声。
それらが全て、胸に引っかかる。
私の質問を皮切りに、微かな沈黙が流れる。
視線を泳がせる私とは正反対に、柳瀬さんは一度も私から視線を逸らさずに、じっと私を見つめた。
そして。
「あなたは正直な人だ」
「え?」
「嘘をつけない人でしょう?」
息の下で笑いながら、そう言った柳瀬さん。
長い指をお腹の上で絡ませて、俯いていた私を見てニヤリと笑った。
「芹沢さんは、秘書になって何年です?」
「何年だなんて……つい最近なったばかりです」
答えが返ってくると思ったのに、逆に質問された。
訝し気に思っていると、柳瀬さんは納得した様に小さく頷いた。
「なるほど。だからですね」
「はい?」
「その質問をされたのは、初めてだ」
「え?」
「この世界で、彼女は有名だから」
「……有名?」
「その名の通り、知らない人はいないくらいにね」
あぁ。
だから秘書になって何年だなんて聞いたのか。
普通だったら、みんな知っているのが当然だから。
だとしたら、そんなに有名な人なんだ、あの女性は。
見た感じ相当なご令嬢に見えたから、どこかの良家のお嬢様なのかな。