嘘つきな君
「――…社長の馬鹿野郎――っ!!」
久しぶりに、こんなになるまで飲んでいる気がする。
だって、明日も明後日も仕事が休みなんだもん。
ううん。
ずっと休みだもん。
「ちょっと、菜緒飲みすぎじゃない?」
「今日くらい思いっきり飲みたいの!」
「まぁ、そうだね」
私の言葉に納得した様に頷いた後、店員から水を貰ってくれた仁美。
グビグビと水の様にワインを飲む私を、呆れたようにして見ている。
それでも、側から見るより頭の中はシラフだ。
こういう時に限って酔えないんだ。
いっその事、訳が分からなくなるくらい酒に溺れたいのに。
二軒目という事で、仁美のオススメのバーに来ていた私達。
丸い形のホールの壁一面は、東京の夜景が一望できるガラス張り。
淡い照明とジャズの音楽が、この空間をより一層優美にしている。
いつもだったらテンションが上がるのに、今見るとなんだか切なくなる。
こんなに世界は広いのに、どうして私だけって――…。