嘘つきな君
「今から取引先と会議がある」
「お疲れ様です~」
私の方に目も向けずに、淡々とそう言う常務。
だから、私も素っ気無く言葉を返した。
すると、動かしていた手を止めて、冗談っぽくお辞儀した私を睨みつけてきた彼。
そして、はぁ? と言わんばかりの顔で首を傾げられた。
「何、悠長な事言っている。早く準備しろ」
落ちた言葉に、瞬きを繰り返す。
その言葉の意味が全く理解出来なくて。
「え……いやいや。私広報の仕事がありますから」
「何言ってる。俺の秘書として来るんだよ」
「はい? そんな事は秘書課の人間に頼んで下いよ」
「だから、頼んでるんだろうが」
「何言ってるんですか? っていうか、用件は何ですか? 早く仕事に戻りたいんですけど」
「今言ってるだろうが」
「だから、そういう事は秘書課に頼んでくださいって」
全く話が噛み合わない。
お互い不機嫌そうに首を傾げて、言い合う。
それでも。
「お前も秘書課の人間だろ」
「はい? 何言ってるんですか? 私は広報です! あなたが今視察中の!」
「だから、今日辞令が出ただろ」
はぁ? と声に出さずに首を傾げる。
そんな私の顔を見て、深い溜息を吐いた彼。
全くもって、意味が分からない。