嘘つきな君

一応、彼の言い分を理解しようと頭を回転させるけれど、一向に応えは見つからない。

募るのは、上から目線で言われた事への苛立ちのみ。

ただただ、呆れ顔で私を見つめる彼を訝し気に睨みつけた。

すると。


「今日からお前は秘書課に移動だ」


落とされた爆弾のような発言に、ポカンと口を開ける。

いや、だって、意味が分からない。


「ご、ご冗談を」

「冗談言ってられるほど、俺は暇じゃない」

「いや、だって、聞いてませんよ、そんな話!」

「朝一番でお前の上司に辞令を渡した。聞いてないはずがない」


慌ててデスクに座る彼に詰め寄った私に、まるで見せつける様に彼が一枚の紙を押し付けてきた。

反射的に、その紙を勢いよく奪い取って目を通す。

だけど、そこに書かれていた文章を見て目を見開く。


「秘書課に……異動ぉぉぉっ!?」


そこには。

彼が言う、秘書課への異動が命じられていた。


「聞いてないですっ!!」

「辞令は朝ちゃんと出した」

「私、朝一の打合せで外にいたんです!!」

「じゃぁ、今言った」

「っていうか、横暴です! こんな突然の人事異動!」


綴られた書類を本棚に片付ける彼の後ろを追いかけながら、必死の抵抗を示す。

それでも、一切私とは目も合わさずに淡々と言葉を返す常務。

その姿に、再び怒りが湧く。


っていうか、私が秘書課に移動!?

秘書なんて、やった事もないのに!?

絶対やだ!!

それに、今の仕事だって引継ぎとかあるしっ!!

すぐになんて、不可能!!


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