ロマンスがありあまる
色白のその肌は荒れていないうえにシミもなくて、例えるとするならば白玉のようである。

精悍な顔立ちはまるで俳優だ。

ひょえーっ、どこの芸能人なのかと思っちゃったじゃない…。

そう思った私に、二重の切れ長の目が向けられた。

あっ、三白眼なんだ。

その目を見た私はそんなことを思った。

「どちら様ですか?」

形のいい彼の唇が動いたかと思ったら、音を発した。

「えっと…総務課から秘書課へ異動してきました、遠野楓子と申します」

私が自己紹介をしたら、
「ああ、僕の秘書として働くことになった例の人か」

専務こと鷹司国光が言った。

「ご存知ですか?」

そう聞いた私だったが、すぐにそれが当然だと言うことに気づいた。
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