いちばん、すきなひと。
再会
「あっ!野々村じゃん!!」
隣にいたユキも気付いたようだ。
もちろん、野々村の後から
「おー!久しぶり〜」
スーツ姿の松田がひょっこりと顔を出した。

「松田!なんか大人びたねー」
ユキはそう言って上から下まで松田を眺めていた。
そして隣の彼を見て。
「ちょ、野々村やっぱり袴かー」
予想通りすぎて二人で笑ってしまう。

「オイなんでそこ笑うんだよ。カッコイイだろ?」
「ええモチロンとても似合いますわーさすが野々村サマデゴザイマス」
「またお前は……」

長い間、会うどころか
連絡すら取ってなかったのに
こうして再会すると
あの時の頃に戻ったようだ。

懐かしく、楽しい。

「お、みやのっちじゃん」
中学と高校の、バスケ部メンバーが次々と野々村の後ろから押し寄せる。
「わーみんなちょっと大人になってるー」
「オイ俺だけなんか視界から外れてねえか?」
「ん?なんのことかしら」

「アンタは相変わらずってワケね」
ユキも納得したようにウンウン頷く。

バスケ部はやはり大人になっても目立つ存在で
結局この集まりを見て懐かしい面々が更に集まり出す。
周りは一気に同窓会のようになった。

友達との再会はとても楽しくて
やはり式が始まってもなんだか学校気分で。
だけどスーツや振袖に身を包んだことで
少し大人として気持ちを引き締めようと思ったり。
色々な事を考えているうちに、あっという間に式典は終了した。

式が終わり、帰ろうとすると
「みやのっちー、携帯の番号変えた?」
と、野々村が聞いてきた。
「変えてないよ。面倒だからずっと一緒」
「そうか。じゃあさ、また連絡すっから」
「?うん、別にいつでもいいよー」
じゃあね、と挨拶をして
ユキたちと記念撮影を楽しみ、突然降って湧いた高3の同窓会なる企画に乗っかることにした。


一瞬、久しぶりの再会で何を連絡することがあるのだろうかと思ったけれど
ただの確認だったのかと納得した。
確かにしばらく連絡取り合ってなければ、その番号やアドレスがまだ本人のものかなんて
確認のしようがない。

その時はとくに気にもとめず、
皆と久しぶりの再会に喜ぶばかりだった。


予想通り、同窓会はそれはもう笑いの耐えない時間で
まだ真鍋くんと加代は続いているらしく
修学旅行の話までさかのぼって盛り上がっていた。

その片隅で松田と並んで焼き鳥をつまむ。
「みやのっち、変わってないねー」
「ちょっとくらい変わっていたかったけど、2年そこらで変わるワケないっしょ」
「確かに」

そこ納得されるとなんか腹立つんですけどね

「ところでみやのっち、彼氏は?」
「痛いとこ突いてこないで」
「おっ、まだ俺にもチャンスある?」
「ない」
ですよねー、と彼は机に突っ伏した。

このやり取りを聞いたユキが、水を得た魚のようにはしゃぐ
「出た、松田のアタック!!ほらー、みやのっちやっぱり松田に好かれてんじゃん!」
めんどくさい流れだぞこれは。
「ないない」
私は速攻で否定しておいた。

「えー俺あん時結構マジだったんですけどー」
「松田サン、酔ってます?」
「酔ってーないっ!」
というわけでビールおかわり!と
松田は上機嫌で他のクラスメイトとも絡みまくっている。

ユキはまだ自分の勘は間違ってなかったと喜んでいる。
彼女もだいぶお酒が進んでいるようだ。
酔っ払いほど面倒なものはない。巻き込まれないようにしなければ。
そう思いつつ、私もかなり飲んでいる気はするが。

結局、その後二次会はボーリングだカラオケだと
皆ではしゃいで解散。

彼が、まだ野々村と繋がっているのかどうか、
そんなことも聞きだせず。
知ったところで関係ないか
なんて私も他人事のように感じたまま、その日を終えた。
< 81 / 102 >

この作品をシェア

pagetop