次期社長の溺愛が凄すぎます!
「なに言ってるんですか。主任も私もアラサーなんですよ! 私は結婚したいですもん。赤ちゃん産んで、子供が結婚して、また孫が産まれて、大家族に囲まれながら大往生するのが夢なんです!」

「いや。ごめん。夢がキラキラどころか、しめやか過ぎてびっくりする」

花嫁さんになるのが夢なの!なら、可愛らしい夢だなぁとか思うけど、嫁になって、子供産んで、孫が産まれて、最期は大往生って。


……具体的過ぎて怖い。


「でも、そっかー。そこまで考えないといけないのかな。今後はひとりで生きていくわけだし、さすがに弟夫婦や甥っ子に、迷惑かけらんないなぁ」

行儀悪く肘をつきながらビールを飲んでいたら、三島さんが眉間にしわを寄せた。

「どうしてひとりで生きていく前提なんですか。嫁に行けばいいじゃないですか」

「嫁にっていうけど、夫婦って信頼関係がないと成り立たなくない?」

うちの父さんは弱いくせに酒飲みで、少し締まりのない人だけど、母さんの苦手なことは、何も言わずにさりげなく手伝ってる。

母さんもそれがわかっていて、任せるとこはまかせているし。

ケンカをするのはご愛敬で、お互いに大声で悪口を言い合いながら、大爆笑するような夫婦だ。

どちらが先に謝るか、痴話喧嘩を工場のおっさんたちはカケにしているのは内緒。

ちなみに、父さんが先に謝る方にカケてる人が連勝する。

一喜一憂しているおっさんたちを、母さんが締め上げるのも恒例で……。


あれは信頼関係がないと無理だよなって、いつも思う。
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