次期社長の溺愛が凄すぎます!
***


「ぐっと飲んでしまいましょう」

ニコニコ微笑む原さんに、無表情の藤宮さん、それから戸惑いを隠せない私。

高そうな料亭のお座敷に、たった三人。

原さんいわく“親睦会”を開かれた。

子会社からのたった三日の研修に、歓迎会は悪いからって私はお断りしたんだよ。

でも、『今後のこともあるし、僕らはチームになるんだから』で押しきられてしまった。

だとしたら、原さんはともかく、藤宮さんはいなくてもいいんじゃないかなって疑問は、たぶん言ってはいけないんでしょうね、この場合。

「こういう場所は、緊張してしまいます」

苦笑しながらお膳を眺めていたら、目の前に座っていた藤宮さんが口を開いた。

「あなたが緊張するのか?」

淡々と言いながら、おちょこのお酒をくいっと空ける。

まぁ、あなたはつまりは社長令息なんでしょ。そりゃー慣れていて当たり前って言うか。

考えていたら、藤宮さんの真っ直ぐな視線と目が合った。

片手は軽く握って膝に置き、おちょこを片手に姿勢正しく座している。

悠然としていて、どこか威圧的なのは以前と変わらないなぁ。

って言うか……あなたは武士か。

なんかもう、堅苦しさマックス。まさに武士だよ。武士。

思い付いたイメージに心の中だけで笑っていたら、彼の眉が上がった。
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