次期社長の溺愛が凄すぎます!
「何か面白いことがあったか?」

内心では大笑いではあるけれど、相手は親会社の部長さんだし、さすがに馬鹿正直に言ったら角がたつ。

「いいえ。何もありません」

ニッコリ微笑み返したら、ちょっとだけ訝しい顔をされた。

「あなたに愛想笑いは似合わないな」

ボソリと呟かれた言葉に、原さんが固まり、私の笑顔もひきつりかける。

悪かったな。どうせこっちは総務だし、四六時中笑顔でいることなんてない。

笑顔スキルは中の下くらいのレベルでしょうよ。

そもそも私を目の前にして、気まずくないのか、あなたは。


「まあまあ、部長も斎藤さんも、酒の席は無礼講でしょ」

原さんが、落ち着けとでも言うように、視線で藤宮さんを嗜めているのを見ながら、スッと目を細める。

「無礼講は、決して無礼を推奨するわけではありません」

つんとして言うと、彼の唇がからかうような、笑みの形に変化した。

「あなたは失礼ではないと?」

「藤宮部長程ではないと思っております」

「俺は、それなりに礼儀作法は叩きこまれている」

叩き込まれていたとしても、それを実践しなければ意味がない。

「ちなみに、私には名前があるんですが」

「では、麻衣子」

誰が名前で呼べと言った!
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