次期社長の溺愛が凄すぎます!
「じゃあ、行こう。麻衣子はバーに行ったことはあるか?」

「バーくらいと言いたいところですが、ないですね」

そもそも、外に飲みに行くことがほとんどない。会社での飲み会はいつも大衆的な居酒屋を使うから、あたり前な話でもあるよね。

「どんな感じのバーなんですか? もしかして生ピアノ演奏とかあります?」

「あるところもあるが、ピアノ演奏だと、どちらかというとクラブだろうな。麻衣子は世慣れしているようで初心なところがあって可愛い」

……ええ。私の世界は狭いですとも。

朝起きて、いつも通りの電車で出勤、いつも通りの業務をこなし、たまに注意して、また同じ電車に乗って帰宅する。

夕飯は気力があれば近所のスーパーに寄って買い物をするか、たまにホカホカ弁当を買って帰るくらいの差しかない。

でも、それで初心なお嬢さんと思われても、なんだか異を唱えたいところだよー?

カフェを出てから、ふたりで並んで歩いた。

「……そう言えば、藤宮さんと会うのは久しぶりになるんですか?」

そう言ったら、彼に不思議そうな顔をされる。

「麻衣子のお父さんの退院以来だから、四日くらいか。顔を見ていないから寂しかった?」

最後には楽しそうに微笑まれて、頬が熱くなった。

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