エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
タクシーにはすぐに乗れて、一時過ぎには自宅へ着いた。

シャワーを浴びてベッドへ入ったけれど、さっきまで先生が側にいてくれたせいか、一人がとても寂しく感じる。

「私って、ホント子供みたい……」

入院中は、不本意な出来事だったからとはいえ、先生に八つ当たりをした。

お付き合いを始める前も、そして始めてからも、空回りをしていたり、勘違いをしていたり……。

全然オトナの女性じゃない私を、先生は受け止めてくれる。どうしてなんだろう。不思議……。

先生の優しさに甘えるだけじゃなく、もう少し成長したいな──。


「よし! 準備ばっちり」

翌朝、普段より早めに起きた私は、出勤の支度を早々に済ませた。

昨夜は頭が冴えてしまってあまり寝つけなかったけれど、体のだるさはない。

むしろ、前向きに頑張ろうと思えるのは、きっと先生から貰った指輪のお陰。

ドレッサーに座って、左手を上にかざしてみる。薬指に輝く指輪を眺めながら、表情を緩ませていたとき電話が鳴った。
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