エリート外科医と過保護な蜜月ライフ
朝から誰だろうとディスプレイを確認すると、先生からで急いで電話に出る。

「先生、おはようございます」

ドキドキするな……。朝から先生の声が聞けれるなんて、とても嬉しい。

《おはよう、久美……》

でも、心を弾ませる私とは違い、先生の声はどこか覇気がない。落ち込んでいる、とでもいうのか……。

「先生? どうかされたんですか? あまり元気がないみたいですけど……」

心配になり聞いてみると、すぐに先生が応えてくれた。

《ごめん。俺、すっかり眠っていたんだな》

「えっ?」

《目が覚めたら朝で、きみの姿が見えずに焦った。夜中に一人で帰らせてしまって……》

それで落ち込んでいたの……? 置き手紙を書いておくか、メールでも送っていればよかったと反省する。

と同時に、先生の優しさに心がほんわかと温かくなった。

「それは気にしないでください。私は、先生を起こしたくなかったんです」

《だが……》

「先生、私は先生が夜中でも起きて自宅まで送ってくださると、安心してお泊りに行けませんから」

彼の支えになりたい。それに、負担だけにはなりたくない。その気持ちだけで、先生を説得するように言う。

すると、ようやく先生の声が、ホッとした雰囲気に変わった。

《ありがとう。久美には、いつも元気を貰っているよ。今から出勤?》

「はい。先生もですか?」

彼のその言葉が、私を元気にする。先生こそ、私の頑張ろうと思える心の源……。
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