エリート外科医と過保護な蜜月ライフ

復帰して一週間、新商品のカタログを準備し、鞄に入れる。

久しぶりの営業が、楽しみなような、不安なような複雑な気持ち。それでも、仕事を任せてもらえたのが嬉しくて、私は意気込んでオフィスを出た。

周りの先輩や同僚たちが、今までと変わらない雰囲気で接してくれることに感謝している。

いつまでも、同情的な目で見られるのは嫌だから……。

ソンシリティ病院までは、営業車に乗っていく。足に問題はないから運転はできるけれど、事故に遭ったときの記憶が蘇りそうになり、慌てて打ち消した。

車で約三十分。ソンシリティ病院へ着く。患者としてではなく、仕事でここへ来ることになるなんて思ってもみなくて不思議な気分。

緊張しながら、一階フロアの奥にある売店へ向かう。事前にアポを取っていて、高野さんという女性を訪ねることになっていた。

入院中は、この売店へ来ることはなかった。通り過ぎるだけだったから、高野さんがいまいちどの人か分からない。

売店へ着き、二十代後半くらいの女性に名乗ると、奥から高野さんを呼んできてくれた。

「小松さんですよね。お待ちしていました」

にこやかな顔で迎えてくれた高野さんは、五十代くらいの柔和そうな女性だった。
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