続*もう一度君にキスしたかった



「一緒に住むなら、真帆のご両親に一度ちゃんとご挨拶をしておきたいんだけど」

「えっ!? そんな挨拶行っちゃったらうちの両親浮かれてすぐ結婚だなんだ言い出しちゃいますよ」


実質今まで同棲みたいなものだったのに、と少し変な気もしたが、住所が変わるのだしそれを機会にと彼は考えたようだ。


「大事な娘さんと一緒に住むのに、挨拶しないわけにはいかないでしょう。急に住所が変わったら心配もするだろうし、遊びに来たいと言われたらどうするの?」

「そっか……それはそうですね」

「大丈夫、結婚はまだ先だって僕からも説明するよ。また忙しくならないうちに行こう。ご両親の予定を聞いておいてくれる?」


一般的に里帰りする時期である年末年始が忙しいから、なんだかんだ実家が遠くなっていた私だった。
電話では何かと話すが、近頃は婚期を逃すと心配して「一緒に暮らす男のひとりやふたりいないのか」とせっつかれていたので、同棲くらいのことでとやかく言うことはないだろうけれど。


ちょっと緊張した。

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