続*もう一度君にキスしたかった

仕事人間だったとは思えない発言を繰り返す母を横目に、コーヒーとケーキを用意しトレーに乗せてリビングまで行く。
朝比奈さんが気付いて微笑んでくれた。


「彼女は今、とても仕事を頑張ってます。昨年度の業績も良かった。だから急に辞めるのも中々大変なんですよ」


私と母の会話は丸聞こえだったらしい。
そう助け船を出してくれた。


「そうなの? 真帆がねえ……」

「真帆が仕事人間なのはお前の影響じゃないのか」

「私はもう少しキビキビしてたわよ。真帆は子供の時からどっか慌て者だし緊張しぃだし」


失礼な反応の母を、父が呆れたように笑っている。


「私だってちゃんと仕事してますー」


ケーキとコーヒーをテーブルに並べながら私は拗ねた。


朝比奈さんがフォローしてくれた通り、昨年度、私のエリアは後半急に追い上げて余裕で売り上げ予算をクリアしていた。
頭打ちと言われていたのが嘘のようだった。


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