続*もう一度君にキスしたかった
*****


「良いご両親だね」


両親の泊っていけ攻撃をかわし、帰りの車の中で朝比奈さんがそう言ってくれてほっとした。


「鬱陶しくなかったですか? ふたりして娘をよろしくよろしくって」

「全然。寧ろほっとしたよ。結構緊張してたからね」

「朝比奈さんってそういうの全然顔に出ないからわかんない……」


朝比奈さんはいつも通り穏やかで堂々としていて、ちっとも緊張の色など見えなかった。
寧ろ私の方が変な緊張で笑顔が引き攣っていたくらいだ。


「でも、本当にありがとうございました。最初はわざわざ実家にまで行かなくても、と思ってたんですけど、両親の安心した顔見れて良かった」

「お礼言われるようなことじゃないよ、当然のことだよ」

「親孝行出来たなって思えました。朝比奈さんにワガママばっかり言うんじゃないぞって散々諭されましたけど」


両親はすっかり朝比奈さんの虜になってしまっていた。


「ははっ、真帆をワガママなんて思ったことはないけど。じゃあ、僕も一個ワガママを言おうかな」

「はい?」

「名前で呼んで?」

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