続*もう一度君にキスしたかった
「って、ほんとに止めないでくださいよ!」
「大丈夫、街灯もないし見えないよ」
抱き寄せられて、頬に温もりを感じたら最後。
抵抗なんてする気も起きず、私は従順に目を閉じる。
二度、三度と唇を湿らせるように、しっとりと啄まれ、名前を呼ばれる。
「真帆」
「……ん」
「ん、じゃなくて」
下唇を舐めて甘く催促され、まだ呼びなれない名前を口にした。
「……由基さん」
「真帆」
ぐっ、と抱き寄せる力が強くなり、私も彼の背中に手を回しがっしりとした上背にしがみつく。唇の距離が近すぎて、互いの息遣いが自然と同じになった。
「さん、は要らない。由基って呼んでみて」
「要ります無理です」
「それから敬語もいらないかな」
「な、なんか要望増えてますっ」
「……じゃあ、いつか必ずね」
唇を触れ合わせ、舌を絡める。
互いの温度が同じになるほど、キスは甘く感じた。