続*もう一度君にキスしたかった



付き合い始めてから、当たり前のことだけれど少しずつ周囲や環境が変わっていく。
そのことになんら疑問を感じることはないのだけれど、時折、時間の流れを感じることがある。


といっても、たった一年だけれど。
たった一年なのに、だ。


同棲を始めて、両親に彼を紹介した。
少しずつ、未来の話をすることが多くなった。


仕事の上では、私は昨年に続き順調で、プラス一件、嬉しいことがあった。
私のエリアにある百貨店で、まだプロパーに入れていなかったところで洋菓子メーカーの入れ替えがあったのだ。


いち早く情報を得られてすぐに行動に移せたおかげか、参入することが決まった。
とても嬉しかったけど、これもまた由基さんのおかげだったりする。


その情報を得て来たのが彼だったからだ。
たまたま、情報を得たのが私のエリア内のことだっただけのことで、これが伊崎のエリアだったとしても彼は当然知らせたに決まってるのだが。


「敵わないなあ」


と漏れた呟きは、決して自分を卑下して出たものじゃない。


ただ、しみじみ、大きい。
私は彼の手の中で、見守られながら好きにさせてもらっている気がしてきた。


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