続*もう一度君にキスしたかった
「真帆……僕は」
その後彼の言葉が続かなくて、何を言うべきか迷っているのを感じて、私は咄嗟に彼のシャツの襟元を掴んで引き寄せた。
背伸びをして、小さく口づける。
不要な言葉を言わせないためだけの、一瞬のキスだ。
不意を突かれた彼は、ぱちぱちと瞬きをして私を見おろしていた。
「そんな、心配そうな顔しないでください。ほんとにちょっと、聞いてみただけで」
「真帆……」
「由基さんの気持ちを疑ったわけでも、不安になったわけでもないです。由基さんらしいなって思っただけ」
ただ、敢えて言わないことで彼の中に後ろめたさでもあったら嫌だな、と思っただけだ。
私は、以前に木藤さんに主張した通り、彼が彼らしく行動できるのであればそれが一番いい。
私を見おろす彼の目が、大きく見開かれた。
それからきゅっと、眉を寄せ、縋るような心許なさ。
そう、彼が時々、私に向ける目だ。
この目を見る度、なんとも言葉に出来ない思いがこみ上げて、抱きしめたくなる。
だけど、強く私を引き寄せた彼の手の方が早かった。