続*もう一度君にキスしたかった

「……真帆」


少し、彼の持っている寂しさに触れた気がした。


「嫌な想いさせてたら、ごめん」

「してないですってば」


彼は、とても優しい。
そして頭が良い。


誰かが困ってたら助ける方法もすぐに考えついて実行することも出来て、黙って見ていることができない。
それが、理解されないことも今まできっと、あっただろう。


とんとん、と抱きしめられたまま背中を叩く。


「由基さん、大好き」

「僕の方が絶対好きだよね……」


小さな返事は、少し拗ねているようにも聞こえた。
こんな彼を見られるのは、多分私だけ。


彼は、誰かの為に、いくつも仕事を熟せる人だ。
反して、私は全く有能ではないから、守れるものは増やせない。


それが私と彼の、違い。



「君が傍にいてくれるならなんだってする」


首筋でそう、擦れた声のつぶやきがあった。


私にはそれが、とてもリアルだった。




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