続*もう一度君にキスしたかった


「木藤さんからですか?」

「そう。出張の日程をしつこく聞かれてるんだけどね」


以前の出張では、退社の際にエレベーターでばったり出くわし、数年ぶりだったこともあってそのまま飲みに行くことになった、というのは聞いた。
別に、それ自体は嫌だとは思わないけれど、わざわざ朝比奈さんの出張の日を聞いてくるということは次はそれに合わせて時間を作ろう、ということなんだろうか。


さすがにそれは、嫌だな……と思うのは私の心が狭いのだろうか。
先輩後輩なのだから、それくらいあって当然だろうとも思うのだが……木藤さんの方に、好意があるように感じてしまうから、もやもやする。


だけど、朝比奈さんにとってはただの先輩なのだ。
こういうのってどこまでが許せてどこからがNGなのか。
きっと人によるから、揉めるのかもしれない。


「仲良しなんですね、木藤さんと朝比奈さん」


境界線がわからないので、正直に顔に出すことにした。

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