霧幻哀歌ー君と過ごした10 DAYSー
何か勘違いをしているのぶさんが気を回してくれたおかげで室内には私と土方の二人きりになってしまった。
「あー、悪かったな。驚いただろ」
「う、ううん。こっちこそごめんね。勝手に上がり込んじゃって…」
「わざとじゃねえことは分かってる。今年はここに落ちたんだろ?」
「そうだけど…」
「だったら謝る必要ねえだろ」
「……良い奴。ありがとう」
素直に言葉を言うと照れてしまったのか、後頭部を向けられてしまった。
「さっきお前に刀を向けたのは喜助兄さんって言うんだ。面倒見が良くて頼りになる。普段は怖くねえから怯えたりすんなよ」
土方は家族想い。
また一つ、土方について知ることが出来た。
頬を緩めながらその後ろ頭を眺めていると返事をしなかったことを不審に思ったのか突然振り向く土方。
「何ニヤついてんだよ気持ち悪い」
やっぱり土方は嫌な奴だ。
「いでででででっっ!!何しやがる!!」
無言で土方の長く漆黒の髪を強く引っ張ってやった。