《完結》君と稽古した日々 ~アーサ王子の君影草~【番外編】
「分かりません。……ですがライオネル陛下が、あのお方がこうして難民を受け入れ続けていらっしゃるのはイリアーナ様の情報を少しでも掴みたいからなのでしょう」
「やっぱりそうなんだよな……俺も街中至る所で炊き出しとかする時にいろんな所から情報が入って来るんだ。でもイリア様に繋がる事は何も」
「私も列車の修復で現場に何度も足を運びましたが同様です」
「じゃあオゥ鉱脈都市が壊滅に追い込まれたっていう話は本当? だってあそこにはブラッド様が…っ! なんでこの二人がこんな目にあわないといけないんだよ……」
ラインアーサの手紙にはイリアーナとブラッドフォードの婚約が決まったと綴られていた。だが内乱のせいで何もかもが壊されてしまった。
「ジュリアン、落ち着きなさい。まだラインアーサ様の部屋の前です…」
「……ごめんじい様。取り乱して……俺、また明日も頑張るよ。捜索隊も本格的に国外に派遣するって決まったんだ。早くイリア様を見つけてアーサとリーナに心から笑って欲しい」
「私も同感です。ですが、無理はせず出来ることからひとつひとつやって行きましょう……」
「うん。ありがとうじい様」
───ライオネルもジュストベルも、それぞれが出来る事を実践しこれ以上国が傾かない様敢闘している。ジュリアンも僅かな希望を胸に街中を駆け回った。
少しづつだがラインアーサも部屋の外へ出る様になりエテジアーナの見舞いや、王宮内の雑務等の手伝いをこなしている。
それから数日後。
ライオネルが受け入れた難民の中にオゥ鉱脈都市の貴族が居るとの情報が入り、警備隊が確認に向かい王宮で保護する事になった。
保護されたのは領主 アルマンディの妻ルチルと、息子のカルセディだ。二人は身も心も疲れ果てていて食事すら取れぬ程に衰弱していた。集中的な治療で徐々に回復はしたが、アルマンディとブラッドフォードが命を落したと言うのは事実であり、二人の目の前でルゥアンダ帝国の兵士に殺害されたとの事だった。
事実を耳にしたジュリアンは怒りとやるせなさで心が荒んでゆくのを感じた。
「こんな事、あいつらはこんな事をして何になったって言うんだ…!」
ジャコウとサミュエルの企んだ今回の内乱は、リノ・フェンティスタと民の心に大きな爪痕を残すだけ残した。
主犯格であるこの二人は既に禁錮刑と言う罰をその身に受けてはいるがそれでは納得出来なかった。
「やっぱりそうなんだよな……俺も街中至る所で炊き出しとかする時にいろんな所から情報が入って来るんだ。でもイリア様に繋がる事は何も」
「私も列車の修復で現場に何度も足を運びましたが同様です」
「じゃあオゥ鉱脈都市が壊滅に追い込まれたっていう話は本当? だってあそこにはブラッド様が…っ! なんでこの二人がこんな目にあわないといけないんだよ……」
ラインアーサの手紙にはイリアーナとブラッドフォードの婚約が決まったと綴られていた。だが内乱のせいで何もかもが壊されてしまった。
「ジュリアン、落ち着きなさい。まだラインアーサ様の部屋の前です…」
「……ごめんじい様。取り乱して……俺、また明日も頑張るよ。捜索隊も本格的に国外に派遣するって決まったんだ。早くイリア様を見つけてアーサとリーナに心から笑って欲しい」
「私も同感です。ですが、無理はせず出来ることからひとつひとつやって行きましょう……」
「うん。ありがとうじい様」
───ライオネルもジュストベルも、それぞれが出来る事を実践しこれ以上国が傾かない様敢闘している。ジュリアンも僅かな希望を胸に街中を駆け回った。
少しづつだがラインアーサも部屋の外へ出る様になりエテジアーナの見舞いや、王宮内の雑務等の手伝いをこなしている。
それから数日後。
ライオネルが受け入れた難民の中にオゥ鉱脈都市の貴族が居るとの情報が入り、警備隊が確認に向かい王宮で保護する事になった。
保護されたのは領主 アルマンディの妻ルチルと、息子のカルセディだ。二人は身も心も疲れ果てていて食事すら取れぬ程に衰弱していた。集中的な治療で徐々に回復はしたが、アルマンディとブラッドフォードが命を落したと言うのは事実であり、二人の目の前でルゥアンダ帝国の兵士に殺害されたとの事だった。
事実を耳にしたジュリアンは怒りとやるせなさで心が荒んでゆくのを感じた。
「こんな事、あいつらはこんな事をして何になったって言うんだ…!」
ジャコウとサミュエルの企んだ今回の内乱は、リノ・フェンティスタと民の心に大きな爪痕を残すだけ残した。
主犯格であるこの二人は既に禁錮刑と言う罰をその身に受けてはいるがそれでは納得出来なかった。