釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
「ディナー・・・一緒にスル。」
緊張し過ぎてカタ言なのは、もう、スルーしてもらいたい。
だって、さっきから
動揺しかしてない。
隠せない。
嬉しすぎて
隠せるわけがない。
まさか・・・
響君が私に会いに来てくれるなんて
非、現実的すぎるもの。
それに・・・
彼が連れてきてくれたのは、本当にディナーという言葉が合う市内でも有名なフレンチレストランだ。
グラスに注がれた真っ赤なワイン。
正直、ハイボール派な私はまだ産まれてから一度もワインを口にした事はないし。
こういうレストランでのマナーもよく分からなくて、硬直していた。
「彩葉ちゃん?そんなに緊張しないで⁉」と、私の何倍も余裕そうな態度の響君。
清掃員の響君にとって、このレストランは給与に見合わないはずなのに・・・
それなのに
連れて来てくれたって事は・・・
脈あり?
なんて・・・少し位、期待しても・・・いいのかな?
気持ちが知りたくてその目を、見詰めてみた。