釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
彼女がいつ帰ったのかも覚えていない。
頭の中が真っ白で
何も考えられない。
私が清掃スタッフだと思っていた響君は実は、神門(みかど)財閥の一人息子で、私が勤める化粧品メーカー HAKUTOの社長?
そんなわけないじゃん。
だって、響君は普通に清掃スタッフとして働いてて・・・
社長と響君の連絡先も違うじゃない・・・
二人が同一人物なわけがないのに、彼女が私と響君の縁を切らせるためだけに用意した1000万の大金を目の当たりにして、彼女が嘘をついてるようにも思えない。
だけど
私は
私の知ってる響君を信じたい。
それなのに
手が震えて、携帯を持つこともできない。
響君。
君は一体・・・
「・・・誰なの?」
恐くて不安で
言葉と一緒に、ぽろぽろ涙が溢れてくる。
私が知ってる君は一体、誰なの?
もしも。
もしも万が一、彼女の言葉が正しかったら・・・
私なんか、君の恋人でいる資格なんかないじゃない・・・
こんなに大好きなのに
私、諦めるなんてできないのに・・・諦めなきゃいけなくなるかもしれないなんて・・・
そんなの嫌だよ・・・
知りたくて恐くて、心も体も震える。