釣り合わない!!~溺愛コンプレックス~
広すぎる屋敷の中
こんな所で一人になってしまったら本当に迷子になってしまいそう。
一言の会話もなく通されたのは、大きな客間だった。
一人用の皮の椅子に深く腰をかけている響君の父親は私達に気付いても、口を開くことなく、ただ、難しそうな表情で響君の顔を見ていた。
冷たい空気と時間だけがただ、流れていく。
まだ、ものの2、3分のはずなのに、随分長いことここにいるような気まずさ。
一人のメイドがお茶をおき、立ち去るとようやく「何を考えてる?」響君の父親が低い声で響君に対して呟いた。
「俺は俺の生きたいように生きる。」
真っ直ぐに言葉を返した響君に対して、彼の父親は眉間に深い皺を刻んだ。
「お前は私の後を継ぐ身だということを理解できてないのか?」
「彼女と・・・彩葉と一緒になれないならそんなこと理解するつもりは無い」
神門の名前を捨てる覚悟はできていると言った彼の言葉が本物のだということを、響君の言葉を聞いて、息を飲んだ。
彼は全てを捨ててまで
私を選らんでくれようとしている。
「数日間の拘束では仕置きが足りなかったか?
お嬢さん。君もだ。
身分の違いを理解できないか?
響は君のような凡人に釣り合う相手ではないことも分からないか?」
言葉の重圧に
体から血の気が引いていく。