社長は今日も私にだけ意地悪。

long riverが急遽出演しないというトラブルに見舞われたものの、それ以上に発展することはなく、番組は終了した。


「皆さん、本っ当にお疲れ様でした!」

楽屋に戻ってきた四人に頭を下げると、彼等は落ち着いた様子で「お疲れ様」と返す。

でも、初のテレビ出演、しかも生放送、多くの先輩アーティストに触れ、アクシンデントの中で二曲歌う……色んな経験が彼等を高揚させてもいるようで、普段よりは心なしかテンション高い様子でお互いに感想を語り合っている。


本当に、素晴らしいステージだった……。世間からのバッシングも最小限に済んでほしい。


すると、誰かが楽屋のドアをノックしてくる。
返事をすると、中に入ってきたのは番組スタッフの年配の男性だった。


「RED searchさん、今日は本当にありがとうございました! プロデューサー代理の城田さんが無茶を言いまして申し訳ありませんでした……。
あの、この後スタッフと出演アーティスト何組かで打ち上げ行くんですけど、RED searchさんもいかがですか!」

「え、私達もよろしいんですか?」

「勿論ですよ! 寧ろ、皆さんは今日の特番を救ってくれたヒーローですから! 是非来てください!」

では後ほどまた声を掛けにきます、と言ってスタッフは出ていった。


「打ち上げだって〜。まさか俺等が他のアーティストさん達に混じってそんなところ行けるなんてねぇ」

「まあ、スタッフがそう言ってくれてるならいいんじゃね?」

「凛は飲みたいだけっしょ〜。でも行きたいよね! めぇちゃん、行っていいよね?」

井ノ森さんに声を掛けられ、「勿論です。是非皆で……」

行きましょう、と言いたかったのだけれど。


「めぇちゃん⁉︎」

「マネージャー⁉︎」

井ノ森さんと木崎さんが私を呼ぶ声が聞こえる。
白石さんと青野さんの声もそれに続く。


頭が痛い。身体が熱い。

視界が反転し、自分がその場に倒れ込んでしまったことはわかったけれど、私はそのまま、すぐに意識を手放した。
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