社長は今日も私にだけ意地悪。

「社長、ご馳走様でした! 今日は本当にありがとうございました!」

ビルを出たところで、佐藤さんが社長に改めてお礼を言う。
ここのお会計は社長がしてくれた。私は自分の分は自分で払おうと食い下がろうとしたけれど、佐藤さんに「食い下がりすぎると逆に失礼だぞ」と小声で言われ、そういうものなのかなと思いながらも、社長のご厚意に甘えることにした。


「社長はタクシーですか⁉︎」

佐藤さんが社長にそう尋ねる。佐藤さんのテンションがやけに高くなっている様な気がする。そう言えば会話をしながら楽しそうにワイン結構飲んでたもんなぁ。


「そうだね。でも少し酔いを醒ましながら途中まで歩いていくよ。佐藤君は電車かな? 駅は近いけど気を付けて」

「はいっ‼︎ 社長にそんな風に心配していただけて幸せの極みです‼︎」

何て大袈裟な、と思ったけれど、佐藤さんって案外面白い人なのかもしれない、とも思った。


「柳葉〜、帰るぞ〜」

酔っ払いながらも、佐藤さんは私のことを駅まで送ってくれるようだ。私も電車で帰るので、当然彼についていこうとしたのだけれど。


「ああ、待って」

社長が突然そう言ったので、私も佐藤さんも「え?」と動きを止めて社長を見る。
すると社長は。


「柳葉さんには、少し聞きたいことがあるから残ってもらってもいいかな?」

私はもう一度「え?」と反応する。
聞きたいことって何? 二時間近く一緒にいたのに、何でこのタイミングで質問なんてあるの?
< 37 / 154 >

この作品をシェア

pagetop