社長は今日も私にだけ意地悪。
本当に、なんて馬鹿なことを言ってしまったんだろう。
身の程知らずにも程がある。社長は私をドキドキさせようなんて微塵も思っていないのに……。


「い、今のは、忘れてください」

しどろもどろでそう言いながら、恐らく真っ赤になっているであろう顔をゆっくりと社長に向けるとーー彼は笑っていた。


「何で忘れなきゃいけないんだよ。嬉しいのに」


嬉、しい?


決して馬鹿にしている様な笑顔ではなく、優しく微笑んでいる様に見えるのは気のせい?

気のせいじゃないとしたら、何故そんな顔をして〝嬉しい〟なんて言うの? それってまさか、私をドキドキさせられたことが嬉しいってこと……?


……なんて一瞬思ってしまったけれど、そんな訳がない。
社長は意地悪なのだ。私のことを思い通りに翻弄させられたことが嬉しくて笑っているだけだ。優しく微笑んでいる様に見えるのはきっと気のせい。


すると社長は突然「なあ。流れ星って見たことあるか?」と言って空を仰ぐ。
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