社長は今日も私にだけ意地悪。
「……っ」

私の言葉に賛同してくれたことや、今まで見たことのない弾けるような笑顔に、私はまたしても胸がときめいてしまう。


ううん、この間とは比べ物にならないくらいにドキドキして、それでいて苦しいくらいに胸がきゅっと締め付けられる……。この気持ちは一体……。


「そう言えばさー」

たった今まで笑顔だった社長は、瞬時に口を尖らせて突然何だか不満顔。


「お前、全然電話してこないよな」

「はいっ?」

電話って……この間教えられた社長の電話番号のこと? 確かに、何かあれば電話しろとは言われていたけれど……。


「ずっと待ってたのに」

「え、えっ?」

「……まさか電話番号捨てたか?」

「すっ、捨ててないですよ! 大事に持っています!」

あ。またしてもいらないことを言ってしまった。大事に、は明らかに不必要な一言だった。


だけど社長は、私のその余計な発言にまたしても満足気に微笑む。そして。


「まあ、電話ってなかなか掛けづらいよな」

「そ、そうですよね」

実際は、社長に電話など恐れ多くて、電話を掛ける気なんて一切なかったのだけれど。

でも、社長もこう言っているから〝電話してこい〟的なことを言ってくることはもうしないだろう。

と思って少し安心したのも束の間。


「じゃあメッセージを送ってくればいい。その方が気軽に出来るだろ」

「えっ⁉︎」

「ほら、携帯出せ。ID交換するぞ」

「え、えっ?」
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