社長は今日も私にだけ意地悪。
えー、何で今の流れで急に了承してくれたんだろう? と不思議に思う私に、

「凛はああ見えて凄い騙されやすい」、「でもそれ以上に、友達思いで優しい奴なんだよ」と、白石さんと青野さんがそれぞれ小声で教えてくれた。

そうなんだ。やっぱり皆、お互いのことわかり合っていて、そしてとても仲良しなんだなぁ。


その後の打ち合わせは木崎さんと二人で行なうことにし、三人には今日は先に帰ってもらった。

先方にはまだ正式な承諾の返事をしていないけれど、簡単なスケジュールや撮影内容、あとは当日に行う簡単なインタビューについては既にメールで送られていたため、それをもとに彼と話を進めた。


説明が終わり、詳しいことはまた後日連絡すると伝えると、「よろしく」と言って打ち合わせ室を出て行こうとする木崎さん。

エントランスまで送ります、と言って私も一緒に部屋を後にし、エレベーターに向かって二人で廊下を歩いていると、逆側から男性と女性が二人並んでこちらへ歩いてくる。

……社長だった。会話をしながら歩いてくる二人は、私達には気付いていない。

社長の隣にいる女性は、格好や立ち振る舞いからして、恐らく社長の秘書だろう。

茶髪に染めたショートヘアで、スラッとした長身の彼女はモデルのようなスタイルだ。更にはスタイルだけではなく、

「あの人、すげぇ美人だな」

……さっき女性に興味なさそうなこと言っていた木崎さんがそう言うほど、とても綺麗な顔立ちをしていた。
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