社長は今日も私にだけ意地悪。
社長が、綺麗な女性とただ歩いてるというだけならまだ気にしないで済んだかもしれない。

こんなに心がざわつくのは、社長が優しい笑顔を浮かべながら女性の頰に触れているからだ。

やだ。何でそんな風に触れてるの?


って、私にはそんなことを思う権利なんてないよね。

佐藤さんが言っていた、社長は秘書の女性と付き合っているっていう噂は本当なんだ。

……変な期待して、思わず告白したりしなくて本当に良かった。


社長と女性は、私達とすれ違う前に、その手前にある会議室に入っていった。最後まで私達に気付くことはなかった。


「……木崎さん。メッセージアプリで送信したメッセージって、既読になる前なら送信取り消しが出来ましたよね?」

携帯を取り出しながらそう聞くと、彼は「え? ああ」と答えてくれる。


私は、先ほど社長に送った、告白まがいとも言えるメッセージを送信取り消しした。既読になっていなくて本当に良かった。私の気持ち、なかったことに出来た。


その後、社長にメッセージを送ることは、勿論しなかった。
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