キミはずっと、かけがえない人



今になって、その状況が嫌になるなんて。

昔のことなのに、傷つくなんて。

自分の気持ちに気づいてしまうと厄介だよね。

今だけじゃない。

昔のことにも目がいってしまう。

今更、そんなこと気にしても仕方のないことなのに。


それに、今日のことと少し前の婚約者を名乗った女性のことを考えると、彼はモテる。

もちろん、湖陵のこともあるだろうけど。

今後、同じような女性が出てこないとも限らない。

その中には、彼の好みの人だっているかもしれない。

そしたら私は……。


泣きそうになった私は、布団の中に潜り込む。

隣に彼がいるのに、泣くことは出来ない。

布団の中で、ぐっとこらえる。

そんな時、ふわっと何かに包まれた気がした。

何だろうと布団から顔を出そうとしたけど、何かに引っ掛かって出せない。



「何も言わない俺はズルいよな」



急に、そんな声が聞こえた。

彼は、起きていたらしい。




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