キミはずっと、かけがえない人
今までのことを何も知らない所長は、不思議そうに聞いてくる。
「親戚です」
「え?親戚?何で湖陵に入らなかったの?うちは助かったけどさ」
「親戚と言っても遠いので。正直、最近まで知らなかったので」
「へぇ、凄いな。こんなことでもない限り、名刺交換なんてすることなかったわ」
会長の名刺をマジマジと見ながら、感心したように言う。
それもそうだろう。
大手の湖陵と取引なんてないし、その上トップの会長なんて知り合う機会さえないだろう。
私だって、こんなことがなければ知り合うことなんてなかったから。
所長はあっさりしているもので、それ以上は聞いてこなかった。
それ以外には見られていなかったから、その後は静かに仕事をした。
とりあえず、今日は早く帰らなくてはいけない。
余計な客が来たせいで、全然進んでいないんだから。
それでも、仕事量は少ないからそんなにかからないんだけど。