エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
私が聞き返すと、彼は手の力を緩め顔を覗き込んでくる。


「うん。俺の名前を呼んで」
「なま、え?」
「知ってるだろ?」


もちろん知っている。
何度も何度も手紙を書いたのだから。


「……翔、さん」


思いきって口にすると、彼はプイッと顔を背けてしまう。

あれ、違った? まさか、間違えた? 
そんなはずは、ないんだけど。


「あの……」
「思ったよりクるな」


まだ視線を逸らしたままの彼の耳が赤く染まっているのに気づいてしまった。

もしかして、照れてる、の?

しばらく彼を見つめていると、ようやく視線を合わせてくれた。


「これから、ふたりきりのときはそう呼んで」
「……はい」


翔さんがあまりにも意外な反応をするので、なんだか私のほうが恥ずかしくなってしまい、今度は私が目を伏せた。
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