エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「あ、あのっ、一ノ瀬さ——」
「つらいなら話さなくていい。今は俺の言うことを聞いて」


もう限界だった私は、素直に従った。
彼はそのままエレベーターホールに行き、客室用のエレベーターに乗ってしまう。


「部屋を取ったから、ちょっと休みましょう。そのままでは帰るに帰れない。邪な気持ちはないから安心してください」


もうこの頃になると、言葉を発することもできなくなっていて、うなずくので精いっぱいだった。

二十四階に到着すると、彼は私を不意に抱き上げた。


「えっ、あの……」
「いいから黙って」


彼の優しさに涙がこぼれそうになる。

いや、それだけじゃない。
ずっと気を張って生活してきたからか、頑張りをわかってくれて『自分を大切に』と諭してくれる人が社外にもいるんだと胸がいっぱいになってしまったのだ。


彼はそのまま進み、広い部屋に足を踏み入れる。

ここって、もしかしてスイートじゃない?
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