エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
思えば、こんなに熟睡できたのはいつ以来なのかすらわからない。
彼の前で泣いてしまったものの、気持ちが落ち着いたのかもしれない。


「そっか。よかった。それじゃあ、俺のインスピレーション、くすぐってみない?」


彼は私の目をまっすぐに見つめる。
その視線が妙に熱くて、なんだかドキドキしてしまう。


「どういうことでしょう……」
「なんでもいい。峰岸織物に関する知識を俺にもっと教えて。和服のことでもいいし、うんと昔のことでもいい。話を聞きながらイメージを膨らませるから」


まさか、こんな一流のデザイナーに、自分の話からイメージしてもらうなんて信じられない。

けれども、せっかくの機会だ。
私は話し始めた。


「峰岸織物は大正時代に創業され——」


長く、おそらく関係のない話もあったはずなのに、彼は相槌を打ちながら真剣に耳を傾けてくれた。


「うん。いくつか浮かんだよ。火曜にデザインを持っていく。まずはそれに合う布が欲しい」
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