エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
諸々の書類が整い、新たなサンプルを工場にもらいに行こうとしたとき、突然スーツを着た男性がやってきた。

取引のある『東横銀行(とうよこぎんこう)』の営業の二宮(にのみや)さんだ。


「あぁっ、こちらへ……」


すると母がなぜか慌てだし、奥の応接室を勧める。
けれども二宮さんは首を振り、それを拒否した。


「本日は取引停止のお知らせに参りました」
「えっ、どういうこと……」


彼の言葉が呑み込めず、声が漏れてしまう。

我が社は東横銀行からの融資でなんとかしのいでいる。
手を引かれたら、倒産するしかなくなる。


「ちょ、ちょっと待ってください。とにかくこちらへ」


母が不自然なほどに取り乱すので、イヤな予感がする。


「いえ。本日はそれをお伝えしに来ただけですので」
「どうして急にそんなことをおっしゃるんですか? 今、大きな取引の契約が進んでいます。今後の見通しは明るい——」


私は母の代わりに口を開いた。
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