エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
「なにもご存じないんですね」


二宮さんの言葉に、母の顔が引きつる。
なんなの?


「社長が株取引に手を出され大損害を出されました。不渡りが出ることは確実です。我が銀行としましては、どう考えても存続不可能な峰岸織物さんへの融資は、これ以上はできないという判断です」


株? そんな話、初耳だ。


「お母さん?」
「あれは二宮さんがご紹介くださったんじゃないですか。狙い目の株がある。うまくいけば、借金を大幅に減らせるって……」


母が声を震わせる。


「リスクもあるときちんとお話しましたよ。それでも、と乗ってこられたのは、社長です」
「そんな……」


へなへなと力なく座り込む母を見て、私も力が抜けていく。
ようやく、これからの道筋が見えたのに。


「すみません。今日はお帰りください」


なにがどうなっているのか把握できていない今、どう東横銀行と向き合ったらいいのかもわからない。

私は、二宮さんにはひとまず帰ってもらうことにした。
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