エリート社長の許嫁 ~甘くとろける愛の日々~
そして安堵の声を上げたあと、なぜか指先に唇を押し付けるので、心臓が口から飛び出しそうになった。


「あっ、あのっ、一ノ瀬さん?」
「ん? 冷えちゃったね」


焦りまくる私とは裏腹に、彼は涼しい顔をして今度は私の手を大きな手で包み込んだ。


「だ、大丈夫ですっ!」


この距離感って、普通なの? 

もう、無理。
男の人にこんなに触れられた経験がない私は、恥ずかしさに耐えられなくなり手を引いた。


「ホントに?」
「は、はい。そろそろお皿に盛りますね」


冷静になれ、私。
バクバクと激しい音を立て続ける心臓に命令を下したものの、簡単にはどうにもならない。

なんとかひとり分を盛りつけ、テーブルに運ぼうとすると、彼が止めた。


「峰岸さんの分は?」
「私は、帰ります。残ったものも、よろしければ食べていただいて——」
「なに言ってるんだ。帰さないよ。一緒に食べよう」


少し強めに言われたので、動きが止まってしまう。
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