赤ずきんと狼王子
「……うそでしょ」

「……うん、これきっと夢じゃないかな」


 つぶやくローラの手の甲を、マルグリットが思い切りつねる。


「痛い!」

「痛いわよね!? ローラ、痛いのよね!?」

「痛い、ほんとに痛い!」

「ってことは夢じゃないのよ! 当たり番号はA11! ローラが当たりを引いたのよ!」


 そう。
 一面に記された当たり番号は、「A11」。
 一文字が五センチほどの文字で記されていたから、見間違えようもない。


「えっ、A11を引いたのかい? 本当に?」


 どこか眠たそうだった新聞屋も、目を丸くする。
 その声に、仕事をしていた花屋や雑貨屋も、野次馬根性で寄ってくる。
 ローラが持っているくじつきユリウス王子の肖像画に記された「A11」と新聞とを見比べ、次々歓声が上がった。


「すごいぞ、この村から当たりが出た!」

「ユリウス殿下の一日デート券をこの子が引いたぞ!」


 わいわいと村人たちが集まってくる中、マルグリットがローラの手を引っ張って抜け出した。
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