【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「ねえ、もしかしてわざとだったりする?」
「へっ?」
するり、と。先輩はラブレターを持っていない手で、私の差し出した手を掴むと。
わざとらしく、撫でるように指を絡めてくる。
何を考えているか分からない先輩の行動に、上手く反応できないままでいると。
ミア先輩は、うっすらと開いた唇から、白い歯を見せてくる。
「斉藤の靴箱にラブレター入れるの、ちゃんと確認しなかったの?
それとも俺の気を引こうと、わざとこんなことしてる?」
「ミ……ッ、ミア先輩の気なんか引こうとしてないしっ。
それに斉藤って……?」
絡まった指をガッチリ合わせたミア先輩が、勢い良く私を引っ張り。
互いの顔が近づく。
ドキドキ、ドキドキって。なんだこれ。
早まる鼓動に、頭だって追い付かなくって。
今にも爆発、寸前。
「好きな人の名前も知らないなんて、おかしな人だね、天沢ちゃん。
斉藤君は、天沢ちゃんが思いを寄せている、モブ野郎のことだよ。」
「もっ……モブじゃないし!!
学年違うから、名前知らなかっただけ!」
「学年違くても、俺の名前は知ってるよね?」
「そっ、それはミア先輩が名乗ったからで……っ」
「そう。そうやって近づいていかなきゃ
恋なんて発展しないのに。
いきなりラブレターなんて、相手を怖がらせるだけかもしれないよ?」
「……っ」