【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「別に隠れなくてもよかったのに。
最初から気づいてたよ、天沢ちゃんがいること」
うっ、バレてた。
「勘違いしないで、別に天沢ちゃんのストーカーしてたわけじゃないから」
「別に、そんな事思ってないですよ」
「そう、ならいいけど。
あっ、そうそう。今日会えてよかった」
「ーーへっ?」
そう言って先輩が渡してきたのは
先輩が身に付けているはずの、私のネクタイだった。
「な……んですか、これ」
「天沢ちゃんのネクタイだけど?」
そういうことが聞きたいんじゃない。
なんで……このタイミングで返してくるの。
意味わかんないし。
それに返すってことは……。
「もう俺には必要ないから。」
「……っ」
「天沢ちゃんも俺のネクタイ返してね。」
ーーシュルと、私の胸元にあったネクタイを先輩が緩め奪い取る。
ミア先輩は口角も上げずに。
「よかったね。これで俺から解放された。
天沢ちゃんを縛り付けるものは、もうないよ」
冷たい目で、そう言うと。
友達のところに戻っていってしまった。