【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。








次の日の放課後。


昨日泣き腫らした目も、この時間になればだいぶ落ち着いている。


まい実ちゃんは私に気遣って、今日一日、ミア先輩の話題を出してこなかった。


その気遣いに、正直ホッとしてる。


ネクタイ返されたことが、こんなにもショックだなんて。


自分でも驚くくらい、雷に打たれたみたいに衝撃的だ。


先輩の胸元にはいつだって、私のネクタイがあって。

そのネクタイを見る度、先輩の心を支配できているような気がしてドキドキしてた。


毎日がドキドキで埋めつくされていたのに。
今じゃあ胸がザワついてしょうがない。



ふと、廊下の窓にうっすら映る、自分の顔を見た。

情けなくて、つまらなさそうで。


ミア先輩といた時の自分はもっと、明るくて、毎日が幸せそうな顔をしてた。


隣にいるのが当たり前になってきた人が、急に離れていってしまうと。

こんなにも、顔も、今見てる自分の視界だって輝きをなくしてしまうんだ……。


そう思うと
やっぱり、先輩に誤解されたままじゃ嫌だ。


大嫌いなんて言葉、嘘だって言わなきゃ。


言わなきゃ、先輩には伝わらない。



このままじゃ本当に先輩が私から離れていっちゃう。


そんなの、絶対に……嫌だから。





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