【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
◇
次の日の放課後。
昨日泣き腫らした目も、この時間になればだいぶ落ち着いている。
まい実ちゃんは私に気遣って、今日一日、ミア先輩の話題を出してこなかった。
その気遣いに、正直ホッとしてる。
ネクタイ返されたことが、こんなにもショックだなんて。
自分でも驚くくらい、雷に打たれたみたいに衝撃的だ。
先輩の胸元にはいつだって、私のネクタイがあって。
そのネクタイを見る度、先輩の心を支配できているような気がしてドキドキしてた。
毎日がドキドキで埋めつくされていたのに。
今じゃあ胸がザワついてしょうがない。
ふと、廊下の窓にうっすら映る、自分の顔を見た。
情けなくて、つまらなさそうで。
ミア先輩といた時の自分はもっと、明るくて、毎日が幸せそうな顔をしてた。
隣にいるのが当たり前になってきた人が、急に離れていってしまうと。
こんなにも、顔も、今見てる自分の視界だって輝きをなくしてしまうんだ……。
そう思うと
やっぱり、先輩に誤解されたままじゃ嫌だ。
大嫌いなんて言葉、嘘だって言わなきゃ。
言わなきゃ、先輩には伝わらない。
このままじゃ本当に先輩が私から離れていっちゃう。
そんなの、絶対に……嫌だから。