【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「天沢、大丈夫か!?」
壁に背中を強打したはずのミア先輩の方が、痛いはずなのに。
先輩はすぐに私の肩を掴んで、自分の事よりも私の事を心配してくるんだもん。
この一瞬で起きた出来事に
驚きすぎて、声がでない。
口は半開きというマヌケ面を晒しながら、先輩の言葉に頷いた。
先輩はそんな私を見てホッとしたのか、脱力した体をまた壁に預けはじめると。
「……っ」と、さっき強く打ったときに負った背中の怪我に響いたのか、顔を歪める。
「ミア先輩、怪我してるんじゃ……!?」
私のせいで……先輩に怪我させちゃった。
泣きそうになって、眉を八の字にする私に
先輩は目を細め、柔らかく笑う。
「いいよ、別に。
天沢ちゃんが無事なら、それで」
「……っ、全然よくなんかないよ!
すぐに保健室に……っ!?」
先輩を保健室に連れて行こうと立ち上がろうとした瞬間。
ズキッと、足首に激痛が走る。
どうやら階段を踏み外した時に、足首を捻ってしまったみたい……。
ほんと私ってば……ダサすぎるよ。