【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。






「なに、もしかして怪我でもした?」


俯く私の顔を覗き込みながら、先輩は言う。


恐る恐るこくりと頷くと、先輩は立ち上がり、次の瞬間。



「うわっ!?」


私のことを抱きかかえ、歩き始める。



「せっ……!?」


意味がわからない。


なんで私、先輩にお姫様抱っこされてんの!?



「先輩、おっ、降ろしてください!」


「うるせー黙れ。騒がれると歩きづらい」


「でも……っ、先輩だって怪我してるしっ」


「別にこのくらいどーってことない。」



下から見る先輩の顔は、真顔なのにかっこいい。


そのくらい真剣に心配してくれているって分かってるけど。


私、先輩に迷惑かけてばっかりだ……。



なんか嫌だな……。


守られてばっかりで、先輩になにもしてあげられていない自分が惨めで。


呆れられているんじゃないかって、怖くなった。





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