【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。







先輩にお姫様抱っこされたまま、保健室に着くと。

薄暗い保健室には誰も居なくて、消毒液の匂いと、風で揺れているカーテンが鼻と目に入る。



窓の外から部活生の声が聞こえてくる。



ミア先輩が無言で私をイスに座らせると、勝手に(たな)をあさりはじめ、そこから救急箱を取り出した。



まるでお姫様にガラスの靴でも履かせるときみたいに。


先輩は私の靴を脱がし、紺色の靴下を取ると。
足を手に取り、開けた救急箱からテーピングを取り出して、足に巻いていく。



「く、くすぐったいよ先輩」


「そのくらい我慢して。」



先輩の触り方は、なんだかイヤらしい。


だから、意識してしまって、過剰(かじょう)に反応してしまう。


テーピングを終えると、先輩は私の目を見つめてきた。


思わず反射的に目を逸らした。




< 150 / 309 >

この作品をシェア

pagetop