【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
◇
先輩にお姫様抱っこされたまま、保健室に着くと。
薄暗い保健室には誰も居なくて、消毒液の匂いと、風で揺れているカーテンが鼻と目に入る。
窓の外から部活生の声が聞こえてくる。
ミア先輩が無言で私をイスに座らせると、勝手に棚をあさりはじめ、そこから救急箱を取り出した。
まるでお姫様にガラスの靴でも履かせるときみたいに。
先輩は私の靴を脱がし、紺色の靴下を取ると。
足を手に取り、開けた救急箱からテーピングを取り出して、足に巻いていく。
「く、くすぐったいよ先輩」
「そのくらい我慢して。」
先輩の触り方は、なんだかイヤらしい。
だから、意識してしまって、過剰に反応してしまう。
テーピングを終えると、先輩は私の目を見つめてきた。
思わず反射的に目を逸らした。